陶器の日events introduction
各産地にある地元の優れた器(陶器)を使い、地元の食材を食すことで、地産地消を促すというコンセプトのもと、10月4日を「陶器の日」と共に「お茶漬けを食べる日」として、日常の生活空間での「コト」をテーマに、食文化と器の関わりをデザインしていきます。

「陶器の日」の由来

現代日本の陶磁器を古代にさかのぼってみると、1万年前の縄文土器に始まり、紀元前後に焼かれた弥生土器、古墳時代の後に作られた土師器、その後5世紀から12世紀にかけて日本の陶磁器の源流である須恵器といわれる陶質の土器が焼かれていました。
奈良時代、平安時代になってわが国で初めて緑釉、二彩、三彩の釉(うわぐすり)をかけた陶器が焼かれ、当時これが「陶瓷(とうし)」と呼ばれました。
緑釉、三彩など釉瓷の製作、技法については、正倉院文書の「造仏所作物帳」に記録が残っています。「造仏所作物帳」とは、天平5年(733年)から1年にわたって行われた興福寺・西金堂の造営と造仏に関する報告書のことで、そこに造瓷に関する部分がかなり詳しく載っています。
古代の日本では陶器を陶瓷と呼んでいたので、陶瓷の陶を十とし、瓷を四となぞらえて、10月4日を日本の「陶器の日」としました。

※「陶瓷」について漢和辞典を引いてみると、「きめがこまかく質の硬い陶器」「磁器」と説明しています。

陶器の日の目的

  • 陶器を使った日本文化の再構築
  • 地域の食文化の再認識
  • 山海珍味の贅沢さを味わう
  • 食を通じてコミュニティを実践する

陶器は私たちの生活の中で様々な用途に使われています。
食卓を飾り、インテリアとして暮らしを彩ります。
しかし、当たり前の日常に存在しているものに心を留める機会は少ないことでしょう。
個性豊かな各産地の土と炎と真心を感じていただき、改めて”陶器のある暮らし”を実感していただきたいと考えています。
そのために、陶器そのものだけではなく、陶器が持つストーリーはもちろん、一歩進んだ使い方も同時に伝えていく必要があると考えています。
日本のソウルフードとも言える「お茶漬け」は、シンプルに見えて実は奥深いメニューであると共に、お茶碗、小皿、湯のみ、急須、箸置きといった様々な陶器の活用方法の組合せが提案できるメニューです。

陶器の活用方法を、「お茶漬け」というメニューをモチーフに、10月4日を”「陶器の日」=「お茶漬けを食べる日」”として普及推進していきます。

たぬきの故郷は、風さわやかな高原地帯

手作りの素朴さに日本のわびさびを思う
信楽焼(しがらきやき)

琵琶湖の南部、三重県・京都府に隣接する標高380mのさわやかな高原地帯、愛嬌たっぷりのたぬきの置き物で知られる信楽焼は、日本六古窯のひとつであり1250年の伝統を誇る日本最古の産地です。
紫香楽宮の屋根瓦として焼かれたのが始まりといわれる信楽焼ですが、都は大火で消失し室町後期の茶陶が興るまでは、種壺やすり鉢などの日用雑器を作る窯として、農民の手で細々と受け継がれていました。
釉薬を使わない土味をいかした、ぬくもりを感じさせる素朴な風合いの中に、多くの有名茶人が簡素美を見いだし、茶陶信楽焼きとして脚光を浴びました。
しかし、信楽が現在のような大きな窯場になったのは明治に入ってからであり、また、火鉢や灯篭などの庭置きづくりが盛んになったのは大正に入ってからです。
さらに、火鉢や植木鉢に「なまこ釉」などの窯変釉薬を施したり、模様を描いたりし始めたのは、実に昭和に入ってから。
このように信楽焼は、時代とともに変化し、常に時代とともに進んできました。
即ちそれは、他の伝統的な窯業な町とは異なったあり方をしていると言えます。